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賃金台帳の正しい書き方とは?11の必須項目と無料テンプレート

賃金台帳の書き方と必須項目を解説するオフィスイメージ 法律
賃金台帳は適切なフォーマットで作成・保管する必要があります。

従業員を一人でも雇う際、避けて通れないのが「賃金台帳」の作成です。労働基準法で義務付けられた法定帳簿であり、記載漏れには罰則リスクもあります。本記事では、賃金台帳の必須11項目や書き方、給与明細との違い、さらに無料でダウンロードできるおすすめテンプレートまで徹底解説します。

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賃金台帳とは?作成が法律で義務付けられている理由

賃金台帳とは、従業員に支払った給与の明細や労働日数、労働時間などを細かく記録した法定帳簿のことです。労働基準法第108条により、従業員を一人でも雇用しているすべての事業主に作成と保管が義務付けられています。「うちはアットホームな個人事業主だから必要ない」ということは一切なく、正社員はもちろん、パートやアルバイト、日雇い労働者であっても作成しなければなりません。

なぜこれほど厳格に義務化されているかというと、労働者の権利を保護し、適切な賃金支払いや労働時間の管理が行われているかを国がチェックできるようにするためです。もしも賃金台帳を適切に作成・保管していなかったり、記載内容に重大な漏れや虚偽があったりした場合は、労働基準法違反となり、30万円以下の罰金が科される可能性があります。さらに、労働基準監督署の定期調査(臨検)が入った際に指示や是正勧告を受ける対象にもなります。

特に近年は働き方改革の推進に伴い、労働時間の正確な把握が厳しく求められています。未払いの残業代をめぐる労働トラブルが発生した際にも、賃金台帳は最も重要な証拠書類となります。そのため、法的な義務を遵守するだけでなく、自社の防衛策としても極めて重要な書類と言えます。詳細はみずほ銀行の解説記事などで確認できます。

賃金台帳に必ず記載すべき11の必須項目と書き方

賃金台帳は自由に作成してよいわけではなく、法律で定められた項目を漏れなく記載する必要があります。具体的に求められるのは以下の11項目です。

  • ①氏名:従業員を特定するための情報です。
  • ②性別:性別による賃金差別がないかを確認するために必須です。
  • ③賃金計算期間:給与の計算対象となった期間を明記します。
  • ④労働日数:該当の計算期間中に、実際に勤務した日数を正確に記録します。
  • ⑤労働時間数:実際の総労働時間を記入します。管理監督者であっても労働時間の把握は必要です。
  • ⑥時間外・休日・深夜労働時間数:法定労働時間を超えた労働時間、休日出勤の時間、深夜に働いた時間を個別に記録します。これは割増賃金の算出根拠となる非常に重要なデータです。
  • ⑦基本給や手当等の種類と額:基本給のほか、通勤手当、役職手当、住宅手当など、支払われた手当の名称と金額をすべて分けて記載します。
  • ⑧控除項目と額:健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料などの社会保険料や、所得税、住民税、さらには親睦会費など、給与から差し引いた金額と内容を明記します。
  • ⑨所定時間外割増賃金:残業手当や深夜手当など、割増されて支払われた賃金の総額を記載します。
  • ⑩現物給与:食事の提供や社宅など、金銭以外で支払われた給与がある場合にその評価額を記載します。
  • ⑪臨時の給与と賞与:ボーナスや決算手当など、毎月の給与とは別に一時的に支払われた金額を記録します。

これらの項目はどれか一つでも欠けていると、法的な不備とみなされる恐れがあります。特に「労働時間数」や「割増賃金」の欄は、未払い残業代トラブル防止の観点からも最も正確性が求められるポイントです。記載方法の詳細はジョブカン給与計算の基礎知識を参考にしてください。

給与明細では代用不可!賃金台帳との決定的な3つの違い

「毎月従業員に渡している給与明細があるから、それで代用できるのでは?」と考える事業主の方も多いですが、結論から言うと、給与明細で賃金台帳を代用することはできません。その理由は、両者の「作成目的」「記載項目」「保管義務」に決定的な違いがあるからです。

まず作成目的ですが、給与明細は「従業員に対して支払いの内訳を通知する」ためのものであり、保管を想定したものではありません。一方、賃金台帳は「事業主が労働基準法に基づいて労働実態を記録・保存する」ための公的な帳簿です。

次に、記載項目が大きく異なります。給与明細には、基本給や手当、控除額、差引支給額などは載っていますが、時間外労働や休日労働の「具体的な時間数」が詳しく記載されていないケースが多々あります。賃金台帳では、割増賃金の根拠となる各労働時間の詳細を分単位などで正確に記録することが法律で義務付けられています。

最後に、保管義務の有無です。給与明細は従業員に交付して終わりですが、賃金台帳は事業主が一定期間しっかりと社内で保管し、労働基準監督署から提示を求められた際にすぐ提出できる状態でなければなりません。これらの違いを理解せず、給与明細だけで済ませていると法律違反とみなされるため注意が必要です。この点の注意点はヨウケンのシステム選定比較サイトでも詳しく解説されています。

無料で使える!おすすめの賃金台帳テンプレートと作成方法

賃金台帳には、国が定めた特定の指定用紙やデザインはありません。法律で定められた11項目がすべて網羅されていれば、手書きであっても、Excel(エクセル)やGoogleスプレッドシートで作られたものであっても有効です。

これから新しく作成する場合は、一からフォーマットを自作するよりも、無料で配布されているテンプレートを活用するのが最も手軽で確実です。例えば、厚生労働省の各労働局のウェブサイトでは、標準的な賃金台帳のExcelフォーマットを無料配布しています。これを利用すれば、記載漏れを防ぎつつ、自社の運用に合わせたカスタマイズが可能です。

他にも、民間が運営するビジネス書式サイトなどでも、使い勝手の良いテンプレートが多数公開されています。例えば、豊富な書式が揃うbizocean(ビズオーシャン)のテンプレートや、登録不要で手軽にダウンロードできるビズ研の無料テンプレートなどがおすすめです。

ただし、従業員の人数が増えてきたり、シフト勤務や変形労働時間制などを導入していたりする場合は、手入力での管理に限界が来ることがあります。計算ミスや入力漏れが頻発すると法的なリスクが高まるため、将来的には給与計算ソフトや労務管理システムの導入を検討するとよいでしょう。システムを使用すれば、タイムカードの打刻データから自動で労働時間や割増賃金が計算され、ボタン一つで賃金台帳を出力できるようになるため、業務効率が劇的に向上します。

賃金台帳の保管期間は何年?正しく管理するための4つの注意点

賃金台帳を作成した後は、適切な期間にわたって安全に保管する義務があります。この管理方法にはいくつかの重要な注意点があります。

まず最も重要なのが「保管期間」です。労働基準法の改正に伴い、現在、賃金台帳の保存期間は原則として「5年間」と定められています。ただし、法改正の経過措置として、当面の間は「3年間」の保存でも認められることになっています。とはいえ、将来的なトラブル防止や未払い残業代の請求時効が5年に延びていることを考慮すると、最初から5年間保存しておく体制を整えておくのが最も安全です。なお、起算日は「その台帳に最後に記入した日」ではなく、「該当する賃金の支払期日(給与支給日)」となる点に注意してください。

2つ目の注意点は、「事業場(オフィスや店舗)ごと」に作成・管理する必要がある点です。本社で一括して管理している場合でも、労働基準監督署の調査は支店や工場単位で行われるため、各事業場ごとに直ちに閲覧・印刷できる状態にしておかなければなりません。

3つ目は、「雇用形態を問わず全員分」作成することです。前述の通り、正社員だけでなく、アルバイトやパート、さらには日雇い労働者であっても1日でも雇用した実績があれば作成義務が生じます。

最後に、個人情報の厳重な管理です。賃金台帳には氏名、性別、給与額、住所などの極めてデリケートな個人情報が記載されています。紙で保管する場合は鍵付きの書庫に入れ、データで保管する場合はアクセス制限やパスワード設定を行うなど、情報漏洩対策を徹底しましょう。管理運用の詳細はジンジャーのブログ記事を参考にしてください。

まとめ

賃金台帳は、従業員を雇用するすべての事業主に作成・保管が義務付けられている極めて重要な法定帳簿です。最後に、この記事で学んだポイントと活用方法をまとめます。

  • 全雇用形態が対象:正社員だけでなくパート、アルバイト、日雇い労働者も含め全員分の作成が必要です。
  • 11の必須項目を網羅する:氏名、性別、労働時間、控除額など法律で定められた項目を漏れなく記載します。
  • 給与明細での代用は不可:労働時間の詳細や保管義務があるため、給与明細とは全く異なる公的書類です。
  • 原則5年間の保管義務:トラブル防止のためにも、給与支払期日から5年間のデータ保管体制を整えましょう。
  • 無料テンプレートやシステムを活用:厚生労働省や民間のフォーマットを使い、業務の効率化とミス防止を図りましょう。

まずは、自社の現在の給与管理が法律に適合しているか確認し、無料のテンプレートなどをダウンロードして適正な賃金台帳を作成してみましょう。

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