2026年(令和8年分)の年末調整では、基礎控除の引上げ、給与所得控除の最低保障額の引上げ、扶養親族などの所得要件の変更が反映されます。通常の会社員は2026年12月1日以後に行う年末調整で1年分の税額が精算されます。
この記事では、2026年9月25日時点で公表されている国税庁の令和8年分年末調整のしかたと令和8年分 年末調整Q&Aをもとに、確定している変更点、申告書の書き方、必要書類を整理します。家族構成、給与以外の所得、年の途中の退職・出国などで扱いが変わるため、個別条件は勤務先または税務署に確認してください。
結論:令和8年分の年末調整で確認する5つの変更点
| 項目 | 令和8年分の確定事項 | 自分で確認すること |
|---|---|---|
| 基礎控除 | 合計所得489万円以下は104万円。所得に応じて67万円、62万円などに変わる | 給与以外の所得も含む合計所得金額の見積額 |
| 給与所得控除 | 最低保障額が65万円から74万円に引上げ | 改正後の「給与所得控除後の給与等の金額の表」を使う |
| 扶養親族等 | 合計所得金額の要件が原則58万円以下から62万円以下に引上げ | 家族の1月1日~12月31日の所得見込み |
| 特定親族特別控除 | 19歳以上23歳未満で合計所得62万円超123万円以下の親族が対象 | 年齢、生計、所得、他の人との重複適用の有無 |
| 申告書 | 改正後の令和8年分様式が国税庁から公開済み | 勤務先の提出期限と指定された提出方法 |
ここでいう「収入」と「所得」は同じではありません。給与だけなら、収入から給与所得控除を差し引いたものが給与所得です。給与のほかに副業、年金、不動産などの所得があれば、基礎控除申告書ではそれらも含めて見積もります。
基礎控除は最大104万円:申告書の書き方
令和8年分の基礎控除は、本人の合計所得金額に応じて次のように判定します。国税庁の給与所得者向け令和8年分案内に掲載された確定額です。
| 本人の合計所得金額 | 基礎控除額 |
|---|---|
| 489万円以下 | 104万円 |
| 489万円超655万円以下 | 67万円 |
| 655万円超2,350万円以下 | 62万円 |
| 2,350万円超2,400万円以下 | 48万円 |
| 2,400万円超2,450万円以下 | 32万円 |
| 2,450万円超2,500万円以下 | 16万円 |
| 2,500万円超 | 0円 |
- 「給与所得者の基礎控除申告書」に、全勤務先の給与収入の見積額を記入する
- 国税庁の改正後の表で給与所得の見積額を求める
- 給与以外の所得があれば「給与所得以外の所得の合計額」に加える
- 合計所得金額の見積額に対応する区分と基礎控除額を記入する
給与収入だけをそのまま「所得金額」に転記しないことが重要です。複数の勤務先がある場合は給与収入を合算し、副業の売上は必要経費を差し引いた所得で判定します。
給与所得控除の最低保障額は74万円
国税庁「令和8年度税制改正(所得税の基礎控除の引上げ等関係)Q&A」では、給与所得控除の最低保障額を65万円から74万円に引き上げ、令和8年分以後の年末調整用の表を改正するとしています。
年末調整では、会社が改正後の「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」で計算します。本人が一律に給与収入から74万円を引けばよいとは限らないため、申告書では国税庁の表または勤務先の年末調整システムを使ってください。
この引上げに伴い、扶養親族や同一生計配偶者などの所得要件は原則62万円以下になりました。給与だけの人なら目安となる給与収入は136万円以下(62万円+74万円)ですが、給与以外の所得がある場合や特定支出控除などがある場合は単純換算できません。
特定親族特別控除:19歳以上23歳未満の親族を確認
特定親族特別控除は、本人と生計を一にする19歳以上23歳未満の親族(配偶者や事業専従者などを除く)の合計所得金額が62万円超123万円以下の場合に、親族1人につき最大63万円を控除する制度です。給与収入だけなら、おおむね136万円超197万円以下が対象範囲です。
親族の合計所得金額が62万円以下なら、年齢などの条件を満たせば特定扶養親族として扶養控除の対象を確認します。62万円を超えた場合に、すぐ控除がゼロになるのではなく、特定親族特別控除を段階的に判定する流れです。
- 令和8年12月31日時点の年齢を確認する
- 親族の給与収入だけでなく、1年分の合計所得金額を見積もる
- 「給与所得者の特定親族特別控除申告書」に氏名、生年月日、所得見積額を記入する
- 申告書の控除額計算表で特定親族特別控除額を求める
夫婦や親族間で同じ人を重複して控除対象にすることはできません。国外居住親族の場合は、親族関係書類や送金関係書類などの追加資料が必要になることがあります。
令和8年分の申告書と必要書類
国税庁の令和8年分の各種申告書・記載例では、確定様式と入力用PDFを確認できます。実際は勤務先が配布する紙、社内システム、年調ソフトなど指定された方法で提出します。
| 申告書・資料 | 主な対象者 | 一緒に確認する資料 |
|---|---|---|
| 扶養控除等(異動)申告書 | 原則として主たる勤務先に提出する給与所得者 | 本人・扶養親族のマイナンバー、住所、生年月日、所得見込み。国外居住親族は関係書類 |
| 基礎控除・配偶者控除等・特定親族特別控除・所得金額調整控除申告書 | 各控除を受ける人 | 本人、配偶者、特定親族の年間所得見込み |
| 保険料控除申告書 | 生命保険、地震保険、国民年金、iDeCoなどを申告する人 | 保険会社・年金機構・金融機関等の控除証明書(電子データを含む) |
| 住宅借入金等特別控除申告書 | 住宅ローン控除の2年目以後 | 税務署からの申告書・年末残高情報または金融機関の年末残高証明書 |
| 前職の源泉徴収票 | 年の途中で転職し、現勤務先で前職分も年末調整する人 | 令和8年中に前職から支払われた給与の源泉徴収票 |
生命保険料控除は、原則として証明書類の添付または提示が必要です。地震保険料は金額にかかわらず証明書類を確認します。国民年金・国民年金基金やiDeCoなども対象となる証明書をそろえてください。住宅ローン控除は初年度には年末調整ではなく確定申告が必要です。
提出時の注意点:確定事項と個別条件を分ける
- 会社の締切を優先する:申告書には法令上の期限がありますが、計算作業のため勤務先は早い社内期限を設定します。
- 1年分で見積もる:家族の所得は年末調整時点までの実績だけでなく、12月31日までの見込みで判定します。
- 変更があれば訂正する:就職、退職、結婚、扶養親族の所得増減などがあれば、扶養控除等異動申告書を提出します。
- 12月1日が境目:通常は12月1日以後の年末調整で改正後の控除が反映されます。令和8年の最後の給与が11月30日以前で、その時点で年末調整を受ける人は、改正後の控除を受けるため確定申告等が必要になる場合があります。
- 年末調整後も修正できる場合がある:国税庁Q&Aでは、申告漏れや年末の扶養異動があった場合、源泉徴収票を交付する時まで会社が再計算できるとしています。対応できない場合は確定申告を確認します。
給与収入2,000万円超、医療費控除、住宅ローン控除の初年度、副業などにより確定申告が必要な人は、年末調整だけでは手続が完結しません。税額は本人と家族の所得、各控除、勤務先の処理時期で変わるため、この記事の金額だけで個別税額を断定しないでください。
税の扶養と社会保険の扶養は別制度
年末調整で扱う扶養控除、配偶者控除、特定親族特別控除は所得税の制度です。一方、106万円の壁と勤務先の社会保険は別の基準で判定します。税の控除対象でも社会保険の扶養から外れる場合があり、その逆もあります。
年末調整では医療費控除や、原則として寄附金控除を扱いません。年間の手続時期は2026年の税金・給付・年金カレンダー、寄附額を決める前の確認はふるさと納税の控除上限シミュレーションを参照してください。確定申告をすると、ふるさと納税ワンストップ特例の申請は無効になり、寄附分も確定申告に含める必要があります。
よくある質問
令和8年分の基礎控除は一律104万円ですか?
一律ではありません。合計所得金額489万円以下は104万円ですが、489万円超は67万円、62万円など所得に応じて変わり、2,500万円を超えると適用されません。
扶養親族の給与収入が136万円以下なら必ず扶養控除を受けられますか?
必ずとは限りません。136万円は給与だけの場合の所得要件の目安です。年齢、生計、他の所得、他の納税者との重複、国外居住親族の条件なども確認します。19歳以上23歳未満では、所得が62万円を超える場合に特定親族特別控除を検討します。
特定親族特別控除は子どもの学生証が必要ですか?
制度上の中心要件は年齢、生計関係、合計所得金額などで、学生であること自体が一律の要件ではありません。勤務先から所得見込みや関係を確認する資料を求められた場合は、その案内に従ってください。国外居住親族には別途書類が必要になる場合があります。
控除証明書をなくしたら年末調整できませんか?
保険会社や金融機関などに再発行や電子交付を確認してください。勤務先の期限に間に合わない場合の対応は勤務先に相談し、年末調整で反映できなければ確定申告で控除を受ける方法を確認します。
年末調整の提出後に家族の収入が変わったらどうしますか?
すぐ勤務先へ連絡して申告書を訂正します。源泉徴収票の交付前なら会社が再計算できる場合があります。再計算に間に合わない場合は、確定申告で正しい内容に精算します。
次に確認するのは勤務先の期限と家族の年間所得
まず勤務先から届く令和8年分の案内で、提出期限と提出方法を確認してください。次に、本人・配偶者・扶養親族・特定親族の2026年1月1日から12月31日までの所得見込みを整理し、必要な控除証明書を集めます。制度の更新や個別事例は、国税庁の令和8年分年末調整ページとQ&Aで最終確認してください。
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